チームの中で気軽に声を上げる文化を築く
安全に飛行機を運航をするためには、いち早く変化に気づくようにすることがとても大切になります。
変化に気づくとは、言葉にならない違和感に注意を向けることです。
なんとなく嫌だな〜とか、なんかおかしいという感覚。
それを言葉に出して、チームで共有することが必要になります。
例えば、
地上走行をしている時、機長が、「次、右だよね。」
副操縦士は、次の誘導路を右に曲がると思っているので、「はい」と答えます。
機長は、次の2本目の誘導路のつもりでいます。
曲がるはずの誘導路の手前になっても、機長は走行速度を落とそうとしません。
副操縦士は、あれ、自分が間違ったかもと、地上のチャートを見返して、やはり曲がるべきは、この誘導路だと確認します。
そして、この誘導路を右ですと進言しても、時はすでに遅し、機体はその誘導路を過ぎてしまっています。
「なんで早く言わないんだよ!」
「アサーション」という言葉はご存知でしょうか。これは自分の意見や感じたことを率直に伝える能力のことを指します。多くの方がこのアサーションの重要性は理解していると思います。しかし、チームの中で本当にそれが行われているでしょうか?
特に、権威勾配の高い環境では、自らの考えを口にすることは非常に難しいものとなります。その理由は、自分の意見が間違っていないか、または自分の発言が上司やリーダーにどう受け止められるかという不安から、多くの場合、発言を控えてしまいます。
しかし、このような環境が続くと、問題や課題に対する適切なフィードバックが遅れ、結果としてチーム全体の効率や品質が低下する恐れがあります。
大事なのは、「違和感」を感じた瞬間に発言できる環境を築くことです。それが真のアサーションの力を引き出す鍵となります。
「違和感を感じたら、すぐに声を上げる」という文化を築くことで、各メンバーは絶対的な自分の正しさを確認する時間を取らなくても、自分の感じたことを素早く共有できるようになります。これにより、早期の問題解決やよりスムーズなコミュニケーションが実現できるでしょう。
結論として、アサーションの真の価値は「自分が正しい」と確信してからの発言ではなく、「違和感を感じたら、すぐに声を上げる」という行動にあります。この思考を持つことで、チーム全体としての柔軟性と効率性が向上します。
皆さんも、日常の業務の中でこのアサーションの力を活用し、チームの中で気軽に声を上げる文化を築き上げていきましょう。
—