機内の言葉遣いと人間関係
飛行機の中、特にコックピットという密閉された空間で、言葉の一つ一つが重大な意味を持ちます。 機長の一言が、クルー間の信頼関係や機内の雰囲気を一瞬で変えてしまうことが、私は何度も経験してきました。
例えば、突然の乱気流や機材のトラブルなど、緊迫した状況で「くそ」、「畜生」、「何やってんだよ〜」といったネガティブな言葉が飛び出すと、機内の空気は一気に冷え切ります。たとえ、自分の独り言で、相手を責めるつもりはなくても、そんな言葉は、クルーのモラルを下げ、チームワークを乱してしまいます。
飛行機の映画の中で、エンジン火災が起きたりする緊急事態の場面で、大きな声や、焦った声で指示を出す場面があると思います。緊迫感を出すためだと思いますが、実際には、そんなことは絶対にしません。
エンジンが燃えていても、「左のエンジンに火災が起きてるね〜」といった普通の会話の中で、手順を進めていきます。
機長が、緊張したり、焦ったりするとすべてクルーに伝わります。
このことは、飛行機の中だけでなく、日常生活の中でも同じです。ネガティブなセルフトークや他者への批判的な言葉は、関係性を壊し、信頼を損ないます。一方、良い、ポジティブな言葉使いは、関係性を強化し、信頼を築き上げます。
私たちが使う言葉は、相手の心を動かす大きな力を持っています。その力を正しく、そして効果的に使うことで、どんな困難な状況でも乗り越えることができるのです。